第6章  奈多移転

当社は2019年3月26日、それまで54年間事業を行ってきた福岡空港内の板付基地から、新設された奈多ヘリポート内の福岡基地に全面移転した。

移転に関する経緯、関係各所との対応、福岡基地新設工事・引っ越し等についての概要は以下のとおりである。

 1 移転に関する主な経緯

   来日観光客1000万人を目標とした政策の下、福岡空港は、路線拡大・増便、LCCの参入により、

   近い将来に滑走路1本では限界に達するとの見方が一般化し、2002年12月このような状況を受けて、

   国交省交通政策審議会航空分科会から、福岡空港について「新空港、現空港での滑走路の増設、近隣空港との連携による運用等、

   拠点空港として空港能力向上策の総合的な調査が必要」と国交大臣に答申された。

   その後、曲折はあったが最終的に現福岡空港の空港能力向上対策に伴い、

   民間事業者、官庁関係のヘリについては福岡空港外に移転することに決定され、

   また、2015年7月福岡空港ヘリ機能移設事業環境アセスメント第1回技術検討会で、具体的な地点を奈多地区と公表された。

 2 奈多HP新設に関する動き(2013年度~2019年度)

 (1)国関係

   ① 奈多ヘリポート環境アセスメント

     2015年7月 福岡市条例に基づく環境アセスメント開始、2018年3月 評価書が市長に提出されて終了。

     当社は、このアセスメントにおいて、ヘリ騒音・灯火の影響調査における実機飛行を受託した。

     アセスメントの終了に伴い、国から福岡空港施設変更案(奈多ヘリポートの新設)が告示された。

   ② 奈多ヘリポートに関する実務者検討会

     ①の環境アセスメント開始後、実務者検討会が設置されて、

     徐々にレイアウトや施設計画、塩害・飛砂対策、周回・進入離脱ルート、工程等が明確になっていった。

     供用開始は当初2018年12月5日と設定されたが、庁舎建設遅延により2020年3月26日となった。

 (2)当社の対応

   当社はヘリ事業者の窓口的立場で要望等を取りまとめ、対応を行った。

    ① 移転ヘリ事業者との協力

      奈多移転事業者協議会(事務局:当社)を立上げ、塩害・飛砂対策や工事工程ほかを検討し国への要望等を実施。

    ② 報道各社の要望等の把握

      当社契約の報道各社への合同説明会を開催し、情報の提供・共有を行った。

      また、意見・要望(飛行ルート、備蓄燃料の確保、地震・津波対策、塩害・飛砂対策ほか)を受けて、

      実務者検討会での議論や国への要望に反映した。

    ③ 社内検討ほか

      国主導で奈多ヘリポート施設設計・運航の検討が進み出したことから、

      並行して社内で、当社建屋の設計・工事や点在していた職場・倉庫の統合、

      業務運営・通勤等の社内体制整備の検討を実施した。

      検討に当たっては、国の計画と整合を図るとともに、必要により国へ当社意向の反映を図った。

      主なものは以下のとおり。

      【2016~18年度】

       ・建設工事会社との格納庫・事務所棟他の構想・基本設計

       ・これに反映する執務室・会議室等のレイアウト、格納庫内作業室、シャッター・消火装置等設備仕様の検討、駐車台数の把握

       ・工事請負業者の競争入札・決定、請負工事契約の締結 等

      【2019年度】

       ・電話、IT、機械警備の計画と発注

       ・通勤対策の検討

       ・空港施設株式会社格納庫賃借ほか協議、契約

       ・板付基地撤去に向けた福岡空港事務所、FIACとの協議

       ・引越し手順・スケジュールの調整

       ・奈多ヘリポート検査飛行(飛行検査センターから受注)

       ・大阪航空局による格納庫、運航管理体制等の検査、消防検査対応 等

 (3)建屋ほか新設工事

   短期間での設計・施工となったが、社内に体制を構築し、施工会社(株式会社熊谷組)の全面的なご協力も頂き、計画工期で完成。

    ・2018年3月 株式会社熊谷組と工事請負契約締結

    ・2018年4月 設計開始

    ・2018年6月 現況調査(土質調査)

    ・2018年12月 計画通知(確認申請)福岡市より通知書交付

    ・2019年1月 現地着工

    ・2020年1月20日 完成検査

    ・2020年1月29日 空港施設株式会社格納庫竣工式

    ・2020年1月31日 竣工式

3 奈多HPへの移転(2019年度~)

 (1)引っ越し

   事前に定めたスケジュールに基づき、2020年2月から順次移転を開始した。書類、整備用資機材(予備部品、工具類、牽引車等)、

   物資輸送用器材(ワイヤー、バケット等)を奈多へ移送するとともに、並行して電話・インターネット回線、警備システムを構築した。

   新社屋での受け入れ準備と同時移転の混雑回避のため、3月2日から、一部事務系部門の業務について奈多の新社屋で開始した。

   福岡空港での事業(飛行業務)は3月25日まで実施し、翌26日にすべての機体を奈多ヘリポートに送り出して終了し、

   同日よりすべての業務を奈多新社屋・格納庫で開始した。

 (2)移転後の動き

   燃料については、奈多ヘリポート内に燃料貯蔵設備が完成するまでの間(2019年3月~2021年3月)、タンクローリーによる給油を実施した。

   また、板付基地に比べて公共交通機関の利便性が低いことから、

   近隣事業所とも連携して改善策を模索したものの解決が困難であり断念せざるを得なかった。

   この結果、マイカー通勤率が80%を超える状況が継続しており、時差出勤制度などでの対応を試行中である。

 (3)板付基地撤去

   国及びFIACとの協議の結果、板付基地を全撤去し、原状回復後FIACに返還することとなり、

   撤去工事への地元の了承も頂いた上で2022年4月現地着工し、2024年3月竣工予定で工事を進めている。

 奈多へリポート

福岡基地設置の基本的な考え方は以下のとおりとした。

 (1)2倍2倍 

   板付基地の問題点は運航機数に対し敷地が狭く、格納庫や事務所の面積も限界に達しており、

   これでは安全運航の障害となりかねないと危惧されていた。

   このため、奈多ヘリポート福岡基地については、予算上許容される限度の広い格納庫、事務所を目指した。

   各部門と詳細な打ち合わせを重ねた結果は、格納庫面積2倍、事務所面積2倍とした。

   詳細は下表のとおり。      

建物名

建築面積

床面積

奈 多

板 付

比 率

奈 多

板 付

比 率

事 務 所

848.30

419.72

202%

2,353.55

1104.98

213%

格 納 庫

3,643.70

2,374.32

153%

3,933.54

2,010.96

197%

   

300.00

72.30

415%

300.00

85.30

352%

油 脂 庫

42.00

13.00

323%

42.00

13.00

323%

4,834.00

2,879.34

168%

6,629.09

3,214.24

206%



       


  


 (2)運航管理はエプロン、滑走路が直視できる場所

   板付基地運航部運航管理課は、エプロンと運航管理事務室の間に小格納庫があり、

   エプロン、滑走路・誘導路が直視できずモニターカメラの画面を通して状況の確認をしていた。

   安全運航面から視認性を重視し、運航管理室は最上階のエプロン・滑走路側とした。

   さらに、運航卓には進入・離脱方向もできるだけ見えるように1mの出窓を設置した。

   


  (3)大阪航空局空港部への協力

   奈多ヘリポートの設置を担当した大阪航空局空港部にはヘリポート設置、ヘリコプターの運用を熟知した人がいなかったこともあり、

   奈多ヘリポートのレイアウト構想から完成まで、空港部に全面的に協力した。

 板付から雁の巣への移転

2020年3月26日 当社は福岡空港の板付基地から新たに運用を開始した奈多ヘリポートへ社屋及び基地を移転した。

それは、1953年12月3日に会社が「雁の巣」で誕生し、1966年6月に板付基地に移転してから、実に54年ぶりの帰郷となった。

目まぐるしい発展を見せる福岡市において、アジア各地域を結ぶハブ空港として、また、西日本地最大の主要拠点空港として、

急速に発展した福岡空港での航空機離発着の超過密化対策に伴い、定期旅客機のスムーズな離発着を推進する国や市などからの要請を受け、

当社と各自治体が所有する回転翼機を含めた約30機が奈多ヘリポートに移転することとなった。

奈多ヘリポート開港日(2020年3月26日)、事務用品などは事前に搬送を実施した上で、

当日は、業務に間断がでないように福岡空港に駐機していたヘリコプター13機が奈多ヘリポートに移動した。

2020年は、「新型コロナウイルス(COVID-19)感染」のパンデミックに伴い、

マスクの着用やアルコールによる手指消毒、三密(密閉,密集,密接)回避などが徹底されたため、移転を記念した催事も行うことができなかった。

2023年5月、コロナウイルス感染症の5類移行により平常を取り戻し、

一方、福岡空港内に残っていた「板付基地」についても、移転後3年経過した今年、ようやく撤去でき、雁の巣の地で創立70周年を迎えることができた。

紆余曲折ありながらもこの日を迎えることができたこと、これもひとえに西日本空輸を誕生当時から支えていただいた各方面の方々のおかげであり、

また、先輩方の努力の賜物であると深く感謝する次第である。

 社屋設備

福岡基地は2020年1月に完成し同年3月より事業を開始した。

これまで本社と板付基地及び西側格納庫と3カ所に分かれていたが、奈多移転に伴い一つの社屋に統一された。

また、増改築を繰り返した板付基地とは異なり、各部署の連携にも配慮された作りとしているとともに、バリアフリー設計となっている。

移転当初は、度重なる施工トラブルに頭を抱えていた。雨漏りがする、電気がつかない、鍵が合わない、外壁のビスが打たれていない、

トイレットペーパーホルダーが設置されていない、空調のドレンホースがついていない等々・・・。

その都度、担当者を広島から呼んで対処してもらうなどの対応を行った。

設備面では、整備士が人力で開閉していた板付基地格納庫の重たいシャッターを、福岡基地ではオーバードアとし電動化したことにより、

ボタン操作のみで開閉できるように省力化が図られた。

また、板付基地の格納庫は真夏になると40℃を超しており、熱中症と隣り合わせだったが、

整備棟に空調設備が整ったことにより職場環境が劇的に改善された。

福岡基地で事業を開始して3年半が経過したが、早くも塩害の影響が出始めており、この対策も進めていく予定である。

空調設備のある奈多基地整備棟

 引っ越し(事務所関係)

2015年福岡空港が「過密空港」の緩和のため、滑走路の増設工事が進められるなか、当社も奈多ヘリポートへ2019年度中に移転することとなった。

これを受けて、施設計画、設置費用検討、現行施設と新施設の対比など、新ヘリポートへの移転計画がスタートした。

本社は福岡空港前の事務所の1階を安全品質管理室、経営企画室、2階を役員室及び管理部と賃借していたので、

新ヘリポートへの移転に伴う事務所の引越準備にはかなりの労力がかかり、日常業務と合わせて部署間の調整を行う日々が続いた。

本社引越日は雨となり、引越業者が何度も往復したが、天候も悪くかなり時間が掛かった。

荷物が搬出された後、きれいに清掃して搬出は終了した。

一方、受入先の新事務所棟では、レイアウト通りにはなかなか進まず、夜遅くまで四苦八苦してなんとか収めることができた。

なお、その後も少しずつ気づいた箇所の改善を継続中である。

写真は、本社引越前に板付基地の旧整備部事務所へ行ったときのもので、机や書棚で一杯だった事務所が、既に空っぽになっており、

電話機だけがポツンと床に置いてあるセンチメンタルな光景である。

電話機だけが残された旧整備部事務所

 引っ越し(運航関係)

2020年3月26日、奈多ヘリポート開港に伴い、当社も移転となった。

前日までに主要な物品は新社屋に運び込まれており、当日はヘリを朝からスケジュール通りに移動させた。

8時20分からの移動開始予定だったが、予定より遅れ、当社の1機目は10時33分に福岡空港を飛び立ち10時43分に奈多ヘリポートに着陸した。

その後は円滑に移動が行われ、12時50分に最終機が着陸し、出張中の機体を除き、12機の移動を無事終了した。

 引っ越し(整備関係)

2019年度の整備計画において2020年3月に点検整備機がないように事前調整を行った。

引越し作業は2020年2月初旬から徐々に開始し、計画表に沿って概ね計画通り進んでいたが、

ベル427(JA427B)のみ機体不具合のためトレーラーによる夜間の陸送となった。

それ以外の夜間に輸送したものは大型の機体運搬機(ヘリリフター)3台であった。引越し期間は約2カ月を要した。

陸送のためトレーラーに載せられたベル427

ガランドウの板付基地格納庫

 通勤

福岡基地に移転するにあたり、一番の問題は通勤手段だった。旧板付基地は地下鉄の福岡空港駅から近く利便性に優れていたため、

公共の交通機関を利用して通勤する従業員が多かったが、移転後はJRやバスの本数も少ないため、通勤手段を悩んだ従業員も多かっただろう。

移転前の2019年7月に、全従業員に移転に伴う「通勤手段に関するアンケート」を実施したが、

約半数が諸車利用を検討中との回答結果となったため、新社屋の駐車場の確保も必要となった。

アンケート結果を踏まえ、JR香椎線の本数が少なく、最寄り駅の雁ノ巣駅と新社屋間は1.3㎞の距離があること、

また、夏場や冬場、雨天時は通勤に苦労すること等を考慮し、送迎バスの運行も検討したが、利用希望者(約30名)に対し導入費用がかかることや、

バスの路線延長の検討もされていたため、導入は保留となった。

移転して3年半が経過し、福岡基地への通勤に慣れてはきたものの、2023年10月に試行運用を開始した時差出勤制度などを活用していくこととしている。

 燃料

ヘリコプターの運航上不可欠な燃料補給も板付基地から福岡基地に移り状況・体制が大きく変化した。

板付基地では定期便の燃料補給の待ち時間があり、タンクローリーがヘリコプターの燃料補給に来てくれるまでに時間がかかり

緊急出動だけではなく通常運航にも影響が出ていた。

専用ヘリポートである福岡基地に移転後は、このような問題は改善され比較的融通が利くような利便性の良い体制となった。

しかしながら、給油施設が完成するまでに燃料給油施設をどこが設置するのか等の紆余曲折があり、

給油会社が福岡給油施設に決まるのも開港寸前という状態であった。

福岡基地も運用開始直後は地下タンクが無くレフューラー車に燃料を貯蔵する体制で運用を開始したが、

レフューラー車に燃料が残っている場合は昼夜問わず監視が必要なこともあり、福岡給油施設には多大なご尽力を頂いた。

その後、2021年に地下タンクも設置され、事前連絡をすれば24時間燃料補給ができ、安定した燃料供給体制となっている。

 地域共生活動

当社は2020年3月に奈多ヘリポートに移転して以来、海の中道の植樹・間伐活動への参加、

また、奈多ヘリポート周辺の清掃活動を毎月欠かさず実施するなど、地域の一員としての活動を行っている。

移転当初は、新型コロナウイルス感染が流行の兆しを見せ始めており、

その後、瞬く間にパンデミックとなったこともあり、地域の方々とのふれあいが思うようにできなかったが、

新型コロナ感染が5類感染症に移行された2023年、各地でイベントが再開されるようになった。

当社は和白商工連合会への加入や、地元実行委員会主催・雁の巣自治会共催の地域のお祭りへの協賛、

子ども会へ段ボール等の資源提供などを行っており、今後も様々な場面で、積極的に地域の方々に関わり続けていきたいと考えている。

松林の間伐活動

毎月月末に従業員が行っている基地周辺の清掃活動

 板付基地撤去

当社が1966年以来55年間に亘り事業を営んできた板付基地については、2020年3月26日の福岡基地への移転を以てその役目を終えた。

板付基地の敷地のうち当社の直接借地以外については福岡空港運営等事業会社である福岡国際空港株式会社(FIAC)から

当社が賃貸借契約を結んで使用しており、契約で、「事業の用に供しない」場合は原状回復することが義務付けられている。

板付基地の東側は住宅が多く、以前から航空機騒音問題があり、当社の建物とは言え防音壁のような格納庫が無くなると、

エプロンや滑走路まで素通しになってしまい騒音が大きくなる恐れがあった。

このため、撤去工事には地元の方々のご理解が必須であり、

騒音対策に携わる国や工事期間中の制限区域変更や保安などFIACのご理解も必要であったことから、

関係各所との約2年間に亘る協議を経て2022年4月着工に漕ぎ着けた。

一方、板付基地の建物は50年以上前に設計・施工された建物であり、基礎・建物の設計図や構造計算書も保管されておらず、

事前調査でアスベストの使用箇所も確認されていた。

内部に柱のない大空間をトラス構造で支えている屋根、それも50年以上経過して劣化があるかも知れないものを安全に解体・撤去するのは困難が予想された。

さらに、工事敷地面積は約4,000㎡で土壌汚染対策法の届出対象であり、これに伴う各種手続きを実施する必要が生じた。

格納庫の撤去工事は高難度の工事であったが、元請会社のケーアンドイー株式会社の施工管理・安全管理の元、事前の調査・検討の上で、

重機を駆使し、無事故・無災害で撤去を完了した。

また、土壌汚染対策法の対応では、福岡市他関係各所、調査会社から都度都度のご教示を頂きながら進めた。

試料調査の結果、土壌汚染が3地点で確認され、ボーリング調査、国・地元他関係各所への説明、土壌汚染対策法に基づく諸手続き、

汚染土壌除去工事の実施ほか、一連の対応を2023年11月までで終了し、2023年12月には基礎杭引き抜きも完了した。

引き続き2023年度内完了を目指して作業を進めている。

各種制約のある空港内工事であったが、国、FIAC、福岡市ほか関係各機関のご指導・ご協力並びに地元の皆様のご理解には改めて感謝する次第である。

板付基地格納庫(エプロン側)

板付基地格納庫内部

板付基地事務所・格納庫(道路側)

撤去工事のための防護シート

格納庫解体中

基礎掘削中

 寄稿文

  板付基地から福岡基地へ(奈多ヘリポート移転)

整備部 松岡 智司

2020年3月26日、板付基地から奈多ヘリポートの福岡基地へ移転しました。

通常の整備計画では常時5機程度が更新耐空検査作業をするよう計画していましたが、

その計画のままでは点検中の機体を陸送することになり大変な労力が必要になると想定されたため、

なんとか全機体を空輸したいと考え、また、事業をしながらの引越し作業で引越し作業人員が限られるため

整備計画の空白期間を約1か月程度空けるよう約2年間に渡り整備計画を練っていました。

実際の整備計画は基地移転の前後でかなり過密になり担当整備士たちにはかなり頑張って整備作業を進めてもらっていました。

引越し自体は2020年2月初旬から当面使用しない備品から移動を始め約2か月間引越し業務に追われました、

深夜の引越し作業では福岡空港内の色とりどりの照明がとても幻想的でした。

しかし、夜中の23時ごろには工事車両が一斉に列を成して空港内を走り始め、

途端に工事現場へと変わり福岡空港もこれからもっと変わるんだなあと思ったのを記憶しています。

実際に2023年の福岡空港はすでに西側格納庫の跡形はなく板付基地格納庫も撤去され新しく生まれ変わりつつあります。

2020年3月26日はいよいよ福岡空港に駐機していた12機の空輸となります。

空輸は10:30から始まり、最後の機体が12:50に着陸、その間約10分おきに奈多ヘリポートに次々に着陸してきました。

最後の機体の着陸を見たときはさすがにホッとしました。

私は当時、板付基地と福岡基地を何度も往復したのですが、引越し後の何もない板付基地格納庫や事務所を見た時は何とも言えないさみしさがありました。

ところが、奈多ヘリポートに来てみると移転後の片づけが結構大変で、

実際に機体を格納すると配置したものが邪魔になったりして慣れない格納庫で多くの整備機材の置き場所は中々定まらない日々が続きました。

今は来客者の方々に格納庫を案内すると、とてもきれいで大きな格納庫ですねと言われることも多くうれしく感じるのですが、

移転の時は大変だったなあと思い出すことが多くあります。